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しんしのたしなみ

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三陽商会の決算から学ぶ財務分析入門 ②損益計算書分析とまとめ

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  ↓の記事に引き続き、三陽商会の事例をみながら財務分析を学んでいきましょうという内容です。

www.shinshino.com

 前回は貸借対照表を分析しました。貸借対照表からは「安全性」を分析しますよ、というのが大事なポイントです。

 

 それでは今回は損益計算書の分析をしていきましょう。

損益計算書の分析

 これが損益計算書です。

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 トピックスに赤字の言い訳がだらだらと書いてあります。挙句天候不順が原因とか言い出し始めていますね。

 損益計算書からは「収益性」を分析します。収益性分析は、実際にいくら利益を生み出しているかはもとより、どれだけ効率よく収益を生み出しているかを把握することが重要です。

 収益性を分析するための代表的な指標は「売上高売上総利益率(粗利率)」、「総資本経常利益率ROA」です。

損益計算書のいろいろな利益について

 損益計算書にはいろいろな利益が登場するので、まずそれを解説しておきましょう。

 ・売上総利益・・・売上ー売上原価であらわされる利益です。これは会社の商品そのものの力によって生み出された利益です。

 ・営業利益・・・売上総利益から販管費を引いたものです。販管費とは、給料やオフィスの賃料など本業に必要な費用です。営業利益は本業での利益を表します。

 ・経常利益・・・営業利益から営業外損益を引いたものです。営業外損益には株で得た利益や、借金の利息の支払いなどがあります。本業以外の損益を含む利益が経常利益です。

 ・当期純利益・・・経常利益から特別損益を引いたものです。特別損益は、特別の名の通りで、たとえば地震による建物倒壊の費用などが該当します。当期純利益最終的に稼いだ利益を表します。

売上高売上総利益

 売上総利益 ÷ 売上高 = 売上高売上総利益

 です。読んで字のごとくですね。

 商売の鉄則は安く仕入れて高く売ることです。商品に魅力があれば高く売ることができます。それがどれくらいできているかを表すのが売上高売上総利益率です。

 この指標は前年との比較、同業他社との比較を行うことで分析を行います。

 まずは計算してみましょう。

 28230 ÷ 67611 = 41.8% というか資料に書いてますね。

 ちなみに前年は49.3%でした。

 大幅に悪化しています。この指標は業界によって基準が大きく異なります。例えばネット業界などは、仕入れがないため売上高売上総利益率は概して高いです。アパレル業界の平均は40~50%といわれています。また、高価格帯の商品を販売するブランドほど売上高売上総利益率は高いです。

 三陽商会は中~高価格帯の商品を主力とする企業ですので、この数値は危険水域といえるでしょう。

総資本経常利益率

 経常利益 ÷ 総資本(=総資産) = 総資本経常利益率

 です。ROAといったほうが一般的でしょうかね。Return on Assetsの略です。

 企業が持っている資産をどれくらい上手に活用して利益を上げているかを表します。同じ利益を稼ぐなら、少ない資産で稼いだほうが効率がいいよね、ということです。

 計算してみましょう。

 -8196 ÷ 80764 = -0.101...-10%です。あれ、マイナス?

 経常利益がマイナスなので、ROAもマイナスになってしまいます。ROAは全業種に共通で、5%以上が目標10%あれば優良です。マイナスなんて話になりません。

 ちなみに三陽商会ROAですが、前年は2.6%で、その前の年は6.1%でした。前年から危険水域に突入したものの、打開できずに今年はマイナスになってしまったということがわかります。

まとめ

 貸借対照表から見ると、大企業というだけのことはあり、それなりに貯えがあることがわかりました。今年と同じような赤字を垂れ流していても2~3年は債務超過(=倒産)しないことがわかります。

 しかし損益計算書を見ると、昨年から危ない状態になっていて、それが今年も解決できていないようです。赤字にもいろいろな原因がありますが、本業がうまくいっていないことが原因の赤字であるため、根が深い赤字といえます。

 今後は不採算ブランドの撤退や、ブランド力強化によって2018年の黒字化を目指すみたいですが、果たしてうまくいくでしょうか。うまくいかなければ倒産も現実味を帯びてきてしまいます。

 僕は三陽商会の服はあんまり買ったことがありませんが、ぜひとも日本のアパレル産業の雄としてがんばってほしいものです。